A.6
神ということばにふれるとき人はみなそれぞれ異なった神のイメージを抱くものだと思います。たとえば日本人が一般的に抱いている神のイメージとイスラム教徒が抱く神のイメージはよほど異なったものなのではないでしょうか。それぞれの民族や国家の文化伝統・歴史的背景に応じてその宗教観や神観念も大きく異なっているものだと思います。またもっと身近なところで考えてみても、その人が育った家庭環境や信仰の有無、あるいはどのような宗教を信じているかによって神のイメージは異なってくると思われます。白い髭を生やした神さまをイメージしている人がいるかと思えば、人間とはかけ離れた天上にいます神や目に見えぬ神のはたらきをイメージしている人もいることでしょう。ですから、万人が納得できるこの質問に対する答えはあり得ないのかもしれません。ここでは金剛さまが説かれている教えにもとづいた答えを記すことにします。
金剛さまは「天地宇宙の神魂霊(かみだま)は祈らるる所に鎮まりまします」と申されています。また神について次のようにも述べられています。
「万物同根の真理から、山にも、川にも、木にも、草にも、人にも獣にも皆それぞれの主宰神があり、宇宙統率の大神を中心にまつろうている」
「尋ね来たれば混濁せる社会人事の中にも路傍身辺にも神は到る所に存在する。神の統率し経綸し給う全宇宙に神の遍満せざる理由はないのである」
これらのことばから金剛さまがいわれている神がどのような存在であるかがよくわかると思います。それは全宇宙に充ち満ちておはたらきになっている存在であって、いいかえれば宇宙現象の一切は神のあらわれである。つまり、この世の中に神のはたらきでないものは何一つ存在しないのであって、われわれは一瞬といえども神と離れることはないというのです。いや、われわれの存在そのものが神のあらわれなのです。このように神は全宇宙のいたるところに一瞬のとどこおりもなくはたらき続けてくださっているのです。