
東北第2教区・東日本大震災慰霊供養祭2023
東北第2教区では、本年で13回忌を迎える東日本大震災犠牲者に対する慰霊供養を、去る9月24日、未だ帰還困難区域が残る福島県富岡町の富岡漁港において開催しました。
今回は「北日本圏域」も共催しており、現地には、北は北海道から、東北、新潟、埼玉、群馬、東京より、合わせて約125名の会員有志が参加したほか、同時刻に北日本圏域に所属する各支部が供養に参加しており、総勢200名以上の大供養となりました。また各地より寄せられた、祈りを込めた折り鶴も1万2500羽を数え、たくさんの真心が結集したご供養となりました。
東北第2教区では大震災以降、岩手、宮城、福島の様々な被災地において、毎年、供養をさせていただいてきましたが、原発事故により全町避難となった地域での供養は、今回の富岡町が初めてとなります。
供養に先立ち、福島富岡支部の田中重一さんと佐藤和子さんが体験を発表されました。その中には、死の恐怖を味わった大きな揺れの地震、原発事故の禍々しさ、その後に起きた耐え難い苦しみが語られ、想像を絶する当時の苦悶な日々を思い浮かべ参加者一同、息を飲みました。そして、大自然の驚異と人間の愚かさを垣間見つつも、それでもなお金剛さまのみ教えを心より信じ、誠実に生きている2人の体験内容に参加者は涙しました。
その後、本部出講の安達武寿常任理事及び北日本圏域を代表して参列した車康平理事の挨拶により、人生の困難への対処は解脱の教えがすべてであり、この教えを次世代に繋いでゆくことが大切であると学ばせていただきました。
供養行事は、合澤洋子教区担任部長の「回向文」からスタート。天茶供養では、地元の福島富岡支部の猪狩富行支部長が先達を務め、長く続いた猛暑も一段落し、最高気温25度という過ごしやすい日の中、参加者はそれぞれに思いを込めて天茶の撒き供養等にお使いいただきました。
最後に、合澤裕行教区長が体調不良のため欠席したことから、夫人である合澤担任部長が挨拶に立ち、今回の供養への参加、協力について御礼を述べ、報恩行として教区一丸となって布教活動に力を入れていくことを誓いました。
終了後、参加者有志は、富岡町はじめとする地域の人々が長い時間をかけて積み重ねきた日常が、東日本大震災と原発事故により奪われた事実を展示品などで伝えている「とみおかアーカイブ・ミュージアム」において事実をしっかりと胸に刻んで、富岡町を後にしました。(東北第2教区担任部長 堀江敏幸記)